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加賀藩研究の概念

 九十年代以降 、岡山藩や尾張藩、松代藩など、藩を対象とした研究活動が大きな高まりをみせています。それぞれ「藩世界」「藩社会」「藩地域」等の概念を用い、政治主体に焦点を当てた藩政・藩制、武士のみでなく、百姓・町人など諸集団によって形成される社会・文化、さらには支藩関係や江戸藩邸など、様々な分析視角による総合的な把握が目指されています。これらは、藩研究の成果の先に近世幕藩体制を展望する意欲的な試みといえます。

 加賀藩研究ネットワーク(以下、本ネットワーク)は、これら諸研究の動向・成果を踏まえつつ、加賀・能登・越中三国を領する加賀藩を分析対象とするネットワークです。加賀藩は藩政上、比肩なき改作法を実行し得た藩であり、また、徳川家による諸大名の編制・統率が徹底された幕藩体制において、藩主・前田家の官位や徳川家との親疎、陪臣叙爵などから、加賀藩ほど徳川大名化した藩は存在しません。つまり、加賀藩は近世幕藩体制下における藩の理念型であり、尚且つ特殊型としても位置付けられるのであり、その分析対象としての意義は大きいといえます。

 本ネットワークは、加賀藩に焦点を当てながら藩をとりまく諸状況も分析視角とする。富山・大聖寺・七日市といった支藩、江戸本郷邸をはじめとする藩邸および蔵屋敷、加越能三カ国に点在した幕府領預地、北国街道や北前船などの交通・流通、また文芸ネットワークなどにみる他領域も含めた人的交流など、広範な視角を設定するものです。

 また、これらの研究成果をもってIT関連分野との積極的な連携を図り、研究のデータベース化や配信、さらには研究者同士を結ぶ人的ネットワークの構築を意図しています。これらが実現することにより、研究者個人では為し難い総合的かつ横断的な研究領域を設定することが可能となります。加えて、研究成果を地域に対して発信していくことも活動の一つです。

 加賀藩の総合的研究の追求から、本ネットワークは新たな藩概念を創出し、近世史研究の発展をめざしていきます。